【テンプレ+1】の思考
どうも、CL横浜に落選してやることが無くなった8歳の幼女、もみじねこです。
こう、何事もなく日常を過ごしていると案外忘れていたりするんですが、CL関連の話が出ると思い出すんですね。
俺、久しくCLに出てねえな、と。
以前はCLのためにバイトで金を貯め、CLに出て魂を燃やすことで生を実感し、生活の全てをCLが終着点となるように過ごしていました。
あれから社会人となり、仕事やその他身辺の状況も変わり、昔ほどポケカに対しオールインの姿勢を取りにくくなったのは抗いようのない事実です。
しかし、社会人だろうと結果を残す人はたくさんいるわけで、そんなものを言い訳にする気なんて欠片もなく、今でも競技に対する熱意というかスタンスは変わっていないつもりなんですが、それでも自身のやる気とは関係なく丸一年CLに出られなかった過去を振り返って少しばかり寂しさを覚えたりもします。
(今回のCL落選により丸一年のお休みが確定したわけです)
それはさておき落ちる人がいるなら当然受かる人もいるわけで、自分の知っている人でも今回のCLに出場できる人は多々います。
そして、自分の知り合いがCLに出場するのなら。
自分の中の、ある種押し付けにも近い気持ちが多分に含まれているのは重々承知の上で、せっかく出場権を得たのなら、そのチャンスを最大限活かしてほしいと思うし、優先権獲得で次回のCLに繋げてほしいと思うし、願わくばトナメ、そして世界を決めてきてほしいと思うし、そもそもの大前提として「せっかく出場するのなら、悔いの残らぬよう戦いきってほしい」と思うわけです。
さて、オタクの自分語りブログを続けすぎるのも如何なものかと思うのでそろそろ本題を始めていこうと思うのですが、この「悔いの残らぬよう戦う」とはどういうことなのか?というのが今回のスタート地点になります。
「悔いの残らぬ戦い」の定義は当人によってバラバラなので(負け試合は全て悔いが残る人もいるでしょうし、グッドゲーム、自分にやれることを全てやったのなら逆に負けても悔やむべきではないという考えの人もいると思います)、もう少しわかりやすく、逆に「悔いの残る試合」とは何か?を考えてみます。
これもまた色々あるでしょうが、今回はもう少し絞りやすいのではないでしょうか。
自分は「悔いの残る戦い」の大きな割合を占めるものとして「事故ゲーム」が真っ先に出てきます。
確かに「ミスで落とすゲーム」も悔やまれますが、これは努力で減らせます。
幸いなことにポケモンカードゲームはそこまで道中の激しい分岐があるわけでもなく、インスタントのような相手ターンに行動できるようなゲーム性があるわけでもないので(ガブレン時代はさておき)、しっかりと経験を重ねれば「悔いが残るレベルのミス」というのはあまりやらなくなります。
(正解に辿り着いた自信が無く、試合が終わってから『難しい分岐だったなぁ』と振り返るケースもありますが)
しかし、「事故ゲーム」はどうしようもないのです。
極端な話、昨日ポケカを始めた初心者が座ろうと、自分が座ろうと、はたまた世界チャンピオンが座ろうと、例えば手札にプレイできるカードが無ければパスをする選択肢しかないわけです。
「プレイに介在の余地が無いなら悔やむ部分が無いだろう」という意見もありますが、大事なポイントとして事故にプレイは介在しないものの代わりに事故には「構築」の介在余地があります。
今回はこの「構築」という曲者と、少しだけ向き合ってみようという話です。
さて、この「構築」ですが、特にサーナイトやギラティナを使用している方は今現在どのようなリストを使用しているでしょうか?
俗にいう「テンプレ」のようなものなのではないでしょうか?
昨今はネットの普及により様々なリストが目まぐるしく流れてきます。
そうして、それらが時間経過により段々と似通ったリストに収束し、いつからか「テンプレ」として扱われていき、使う側もその「テンプレ」を「テンプレ」として何の疑問もなく採用していくわけです。
しかし、その「テンプレ」は本当に正しいのでしょうか?
そのリストが「安定して勝てるから勝てている」のか、「単に母数が多い故に勝っているだけ」なのか、リストを受け取る側はその吟味をしっかりとしなければならないと自分は思っています。
例えば少しだけ時代は遡りますが、裏工作パルキアというデッキがありました。
軸が持つパワーの高さは流石に疑いようもないですが、しかし、あの時期にテンプレとされたリストは本当に「安定して勝てるから勝てているリスト」だったでしょうか?
JCS2022のDay2配信卓、数多のパルキアが鬼のような事故に見舞われながら、頭を抱えながら、必死にミラーマッチを行っていた惨状を覚えている方も多いのではないでしょうか?
一撃ルギアもそうです。
最近のルギアはハイボ4-キャプチャー4-ネスト2が主流ですが、それは「理論or体感値でその枚数が問題なく動けるラインだったから」ではなく、「どこからともなく4-4-2のリストが流れ着き、それに対してネット上で特に否定する風潮も生まれず、たまたま世間一般としてその配分で根付いてしまっただけ」ではないでしょうか?
ロスギラだって、パス4ネスト3アクロマ4ナンジャモ1~2が本当に「安定するからor問題ないから」あの配分になっているのでしょうか?
「まあ事故は多いかもしれないけど案外雪道アビスシークでなんとかなるから……」という意見にはある程度同意できますが、「アビスシークで何とかしなきゃならない」と言わされている展開それ自体がもう既に弱くないでしょうか?
「撃ちにいくアビスシーク」は非常に強いですが、「撃たされているアビスシーク」はあくまでエスケープとして存在しているだけの択でしかないわけで、「アビスシークがあるからいいや」以上に「そうならないようにするためにはどうしたら良いだろうか?」というアプローチが必要なのではないでしょうか?
(その上で最終的にアビスシークに助けを求める場面は勿論訪れるでしょうが、最初からアビスシークに丸投げすることとは大きな差があります)
と、いくらか問題提起をしてみたわけですが、皆さん心当たりはありませんでしょうか。
(心当たりが無いならそれに越したことはないのですが……)
これはやはりネットの仕組みというか、リストの流通の仕方が悪さをしている部分もあるんじゃないかなと思っています。
例えば基本的に右手が強ければドロサポもボールも少なかろうが問題ないわけで、極端な話その枠を特定のメタカード、つまるところテックカードに割けば割くほど「上振れ値」としてのデッキパワーは上昇します。
(ボールを減らしたギラティナから都合の良いタイミングでピン投の神殿が飛んできて自分のVガードルギアがロストインパクトで貫通されたら『そりゃつえーよ』って言いたくなりますよね?)
当然そういう構築は下振れが酷くなるので安定した勝ちは見込めなくなりますが、それが環境デッキであり母数さえ多ければそういう「ブレの大きいリスト」でも誰かがどこかのジムバトルやシティリーグ、自主大会等でいずれ優勝し、それがネットの海に流されます。
そしてリストを受け取る側はネットの海に複数あるリストからちょうど良い塩梅を探し出し、それらの集合体がいつの日か「テンプレ」として市民権を得ます。
このプロセスに「上振れ構築」のノイズを取り除く手段がないので、ネットの平均を取っている限りある程度ピーキーな要素を孕まざるを得ないのが良くない部分というわけです。
ではどうすればいいのか。
本来ならば、理論(確率論その他)や何百戦も回した体感値ベースでボールやサポートの枚数を決めるのが理想です。
しかし、それには多くの時間が必要なのも事実であり、かつ、ネットのテンプレという集合知を完全に切り捨ててしまうのもそれはそれで惜しい部分もあります。
ここで提唱したいのがタイトルの【テンプレ+1】の思考です。
今あるテンプレから1枚、何でもいいので初動を増やしてみませんか?という話です。
ロスギラならポケギアやネストの4枚目、へんしんスタートのメタモン辺りが候補でしょうか。
ルギアなら上の4枚目やバーネットの2枚目、或いはネストの3枚目やスーパーボール。
サーナイトなら何かしらのドロサポが丸い選択肢だと思います。
この「+1」の考えは自分が大型大会に出る際には昔から(それこそルガゾロを使っているときから)ずっと意識していた部分です。
(当時はネットのテンプレこそありませんでしたが『正直まあこれで回るっちゃ回るな』、の枚数+1を意識しており、ウツギの2枚目がそれに当たる部分でした。まあサイド落ちケアの意味合いも強かったですが、どちらにせよ安定感を求めた採用だったのは事実です)
大型大会に必要なのは「上振れ値の高さ」ではなく「安定感」です。
よく「CLはホームランしか意味がないから上振れ最強デッキ使った方が良くね?」という話を耳にしますが、これに関しては半分は合っていると思いますが半分は間違っています。
例えば「Day1で9-0できるデッキは何?」と考えたときに、「0-3するかもしれないけどハマったときはとんでもない爆発力がある上振れ最強デッキ」が真っ先に思い浮かぶのは正しくありません。
何故なら、「0-3するようなデッキは9-0しないし、9-0するようなデッキは0-3しないから」です(とんちか何か?)。
正しくは「7-2以上が安定するようなポテンシャルがあるデッキ」です。
7-2を安定して取れるようになって、その状態で上振れた日にようやく9-0できるわけで、その7-2安定のスタートラインを満たさないデッキはいくら上振れ値だけ高くとも最初から議論に上げるべきではないのです。
(勿論確率に絶対はないので0-3するようなデッキが上振れ続けて9-0してしまう可能性も0%とは言えませんが、とにもかくにも『9-0する確率の高さ』で勝負するなら『上振れ値』よりも『安定感』に振ったデッキで挑む方が結局のところトータルで見て9-0できる確率は高くなるはずです)
「7-2前提、そこからどうやってそれ以上を積み上げるか」の話をしているときに、そもそも事故で1ゲーム落としている暇などないのです。
(まあそれでも多分事故は1試合くらいは起こるんですが、ただし、自分が事故ったけど相手がそれ以上の大事故で何とかゲームを拾うケースもあるわけで、そういう日が『俺の日』って話ですね)
テックカードというのは薬でもあり毒でもあります。
どうしても「成功体験」が先行しやすいカード群であり、その下に隠れた「安定感の低下」に目が行かなくなってしまいがちなものです。
「いやでもこのカードがあると○○にはめっちゃ楽で……」みたいな意見があるのもめちゃくちゃわかりますが、可能な限り「テンプレ+1」を達成するまでは一旦抜いてみることをオススメします。
そのデッキが本当に強いデッキなら、テックカードなんて無くとも例えば先攻ブン回りで踏み潰せる可能性などもあるはずなんです。
せっかく「○○に勝てるように組んだ!」と言っても、事故って勝てるはずの対面を落としていたら本末転倒です。
とはいえポケモンカードは確定サーチが多く、テックカードを活躍させやすい土壌があるのも理解しているので、だからこそ「テンプレ+1」以上は入れなくても良いとも思います。
(勿論理想は『軸は極限まで太く、各対面の対策はすぐテックカードに甘えるのではなく可能な限りプレイングの段階から検討すべき』なのは変わりません)
と、色々言ってきましたが、「世のテンプレなんてものは、市民権を得られるギリギリの中で最もピーキーなリストである」というのを(自戒も込めて)改めて認識するきっかけとなってくれたら幸いです。
CLまで1週間を切りました。
まだ本命デッキが決まらず、かといって逃げデッキとしてテンプレの環境トップを握ってみても上手く回らず、いよいよ困ってしまった人もいるかもしれません。
そんなときは「これがテンプレだから」、「これで勝っている人がいるのだから悪いのは自分だろう」で片付けるのではなく、実際に試してみて不満を感じることが多いのならば「これはきっと“正解”の構築ではないのだろう」ときっちりと割り切り、「テンプレからの脱却」を試みてみるのも悪くないんじゃないでしょうか。
以上、これを読んだ方がCL横浜にて少しでも良い結果を出せるよう、北の大地から祈っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
※過去記事のまとめを作りましたので、もし良ければ一緒に読んでみてもらえたらと思います。