語学が苦手な人間の話
元より僕には語学を学ぶ才能というものが皆無でした。
何とか人並みなのは「フィーリングで適当に解ける」と言われがちな現代文のみで、その他の語学は全くできない上にやる気も起きません。
さて、そんな僕が第二外国語を履修したらどうなるか、それが今回のお話であり、つい最近まで僕がブログの更新をサボっていた理由です。
時は少し遡り、僕が大学生となった4月。
第二外国語の履修登録をしなければならなくなった僕は渋々ながらドイツ語を履修しました。
理由は簡単、「プリヤやローゼンメイデンにドイツ語が出てくるから」です。
しかし、ドイツ語は「プリヤやローゼンメイデンに出てくる単語を知っていれば単位が貰える科目」ではありませんでした。
そもそも英語ですら満足に理解できない僕がややこしいドイツ語を理解できる訳もなく、やる気の低下と中間試験の範囲確認ミスも重なった結果僕が6月の中間試験で取れた点数は21点。
終わったなぁと思いつつ、まだ果たして単位取得は可能なのかとドイツ語担当の先生に質問をしました。
「すみません、先日の中間試験で21点だったのですが、8月の期末試験でどれだけの点数を取れば単位を貰えるのでしょうか?」
「99点」
「は?」
「99点」
めでたくドイツ語を落とした僕は今年の4月、どの語学を履修しようか悩んでいました。
そんな中で同サークルの知り合いから聞いた情報が1つ。
「ロシア語は単位めっちゃ取りやすいよ」
お!ロシア語って艦これのヴェールヌイちゃんやん、いけるで!
そう思った僕はプリヤとローゼンメイデンを捨て、ヴェールヌイ提督となる決意を固めました。
そして4月最初の授業、成る程「欠席は6回までセーフ」だったり「もし期末試験がダメでも追試アリ」だったりと制度の時点で既に他と比べて単位を取りやすそうな印象です。
しかし「この時点で調子に乗ってしまった事」、「ロシア語という語学自体はドイツ語と負けず劣らずに難しい内容である事」、この2つが8月の僕を地獄へと叩き落とすのですが、今はまだ知る由も無く。
「どうせ単位取れるっしょ~」と舐めに舐めた態度を取り続けた7月末、中間試験が無いロシア語はこの期末試験が主な評価基準です。
しかし、まともに理解できるロシア語が「спасибо(スパシーバ、『ありがとう』の意)」しかない僕がまともに点数を取れる筈もなく、圧倒的勢いで追試対象者になってしまいました。
追試内容は「単語」と「文法」の2つ、追試日程は順に8/9、8/10、追試対象者発表が8/5なので時間は十分にあった筈ですが当時の僕は
イエーイ✌ pic.twitter.com/U4wEh5rJoI
— もみじねこ (@MapleCat_87) 2016年8月5日
成る程反省していない様子。
追試前日の8/8、わかってはいたもののロシア単語の覚えにくさに怒りを覚えつつ何とか徹夜で詰め込み大学へ向かう僕。
しかし、大学へと出発してから数時間後、僕は嫌というほど思い知る事になります。
「インプット」と「アウトプット」は全くの別物だということ、そして、緊張がどれだけ自身のパフォーマンスに影響を及ぼすのかということを。
試験内容は単語20題×2(ロシア語→日本語20、日本語→ロシア語20)、その内どちらかでも6割を取れたらクリア、否ならアウトというもの。
そしてこれを2回まで施行するチャンスがあります。
普通に考えたらガバガバもいいとこです。
しかし(勉強不足は勿論ですが)その日の僕は少しだけ運が悪いようでして。
試験開始、目にした第1問、これがダメでした。
約120ある名詞の中から「覚えにくいからいいや」と捨てた5個の単語、その1つがいきなり出てきたのです。
「マジかよ……」と呟きながら1枚目を即ドロップしつつ2枚目の問題を貰って問題を見た瞬間。
目に飛び込んできた2枚目の第1問、それはまたもや先程捨てたと説明した5個の単語の内の1つでした。
……ドクン。
明らかに心臓の音が聞こえました。
(待て、ちょっと待て)
(運負けやん)
(うわマジか最悪だ)
(ここ落としたら落単だぞ)
(不味いぞどうする)
(落ち着け、落ち着け)
とりとめの無い言葉が脳内を駆け巡る間にも心臓の鼓動はどんどんと大きくなっていき、心臓の鼓動を自覚する事で緊張を自覚する悪循環。
実際は最初の1問を落としただけなのでそこまで重大な話ではないのですが、悲しい事に一瞬で僕の焦りと緊張はピークまで跳ね上がりました。
本来なら分かっていた「本」や「色」のような簡単なロシア単語も白くなった脳内からはまるで釣り上げる事ができず、合ってるかも怪しい単語を12問書いた時点で無情にもタイムアップ、絶望へと叩き落とされました。
正直「言うて単語テストいけるっしょ~ww」と舐めていたのも含めて後悔が深く、自身を責め続ける結果に。
正直3年生で第二外国語Ⅰを履修するのはほぼ留年、就活でもかなりディスアドバンテージなのでかなり避けたいと思っていた状況でこの様、馬鹿としか言いようがないと思います。
この時他者から見て僕がどれだけ落ち込んでいたのかは分からないですが、一緒に居たT君が僕を気遣って楽しそうな話題を積極的に持ち掛けてくれたので相当だったようです。
帰宅するまでの中で辿り着いた答えは「明日の文法テストの終わりで土下座をするしかない」でした。
帰宅してからの数時間は掛け値無く人生の中で5本指に入る辛さだったと言えます。
胃をベッタリとした不快感と不安感で包まれるような、心臓を雑に握られるような、そんな感覚を抱きながら何をやるかと言えばクソつまらないロシア語の勉強。
こんな地獄が他にあるのか?と思いつつも文法で6割を切ると本当にノーチャンスなので血涙を流しながら頑張りました。
「英語ならともかく第二外国語とか絶対人生で要らんだろ、なんでこんな聳え立つクソが必修なんだよどう見ても選択科目で十分だろ!」
ストレスからかロシア語に対する怒りが沸々と湧き上がるも我慢して飲み込む行為。
吐き気からして逆流してきたのは怒りではなく胃酸だったのかもしれません。
ちなみに不思議なもので、圧倒的ストレス下に居ると人間は性欲を感じなくなるようです。
ストレスが有り得ないレベルで高まってしまったので気分転換に可愛い幼女の画像を色々見たのですが、「で?この幼女達は僕にロシア語の単位をくれるの?」と思うばかりでした。
最早ヴェールヌイにはイラつきを感じるレベルです。
これはダメだ、他に何かないかとTwitterを開いてみると
「イライラを感じた時はそれをノムリッシュ翻訳してみるとどうでもよくなるからオススメ」
というツイートが。
しかし、ノムリッシュ翻訳をしてみても「で?ノムリッシュ翻訳をすれば僕は旧ヴァレマ帝国の若き占星術師ロ=シア語のタン・イを貰えるの?」と思うばかりでこれもダメでした。
いよいよ勉強するしかなくなった僕は単語テストの反省によりアウトプットを意識しつつ徹夜、前日と合わせて2徹なので頭がおかしくなりそうで非常に厳しかったですね。
さて文法テスト当日、出来自体は上々、土下座の時間です。
「すみません、先日の単語テストなのですが6割を越えているか非常に不安でして、文法の方は確実に6割以上の自信があるのでなんとか単語テストの追試をもう一度お願いできないでしょうか?」
「うーん、でも追試は1回しかやらないからなぁ」
「そこを何とかお願いできないでしょうか!」
「そうだなぁ、じゃあ文法7割越えてたら単語の出来次第で考えてあげるよ」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
要約するとこんな感じでした。
本当に首の皮一枚で何とか生き延びる事ができたという印象です。
以前留年間近になったP君に対して「人は追い詰められるとここまで面白くなるんだなぁ」と笑っていましたが、追い詰められた僕は何も面白くない人間だったのでこの場を借りてP君には謝罪したいと思います、君は凄い。
僕も追い詰められて面白い人間になれるようにこれからもどんどん追い詰められていきたいですね(?)
ちなみにこれを書いている現時点でもまだ結果がどうなったか判明していません。
数日後にTwitterアイコンが黒一色になって名前が「死」、「二外サヨナラバイバイ」、「留年」辺りになってたら察してください。