弱者の戯れ言
突然だが、今(SWSD期)のポケモンカードは自分がやってきた今まで(XY期後半~SM期)のポケモンカードと比べて性質として異なる部分があるように感じている。
その「違和感」はタイトル通り「弱者の戯れ言」なのかもしれないが。
単なるお気持ち表明みたいなものだが記事として書き起こすことで少しでも共感してくれる弱者がいるなら嬉しい限りである。
さて、どんなデッキにも「自分の中で強い動き」というものがある。
「これを効果的に通したい」、所謂「デッキの勝ち筋」というやつだ。
自分はそのデッキの武器、勝ち筋を「槍」と呼んでいる。
「自分の勝ち筋を効果的に押し付ける」は「槍を相手に突き刺す」だ。
まあ呼び方なんてのは人それぞれで、自分はなんとなくそれがしっくりきただけの話なのでいいとして、先程の「ポケモンカードの性質的な違い」とはこの「槍」の部分に関係しているんじゃないかなと最近は思っている。
今のポケモンカードは斬って斬られての応酬ではなく自分が持っている槍をどれだけ鋭く突き刺せるか、みたいな感じなんじゃないだろうか。
昨今カードパワーの増加に伴い「どんなデッキでも『最強パターン』に入ったらそれが強すぎて非常に捲りにくい」のかな、と。
「斬って斬られて」じゃなく、「ぶっ刺してそれで終わり」みたいな。
(ちなみに『斬って斬られて』と言えば自分は『サーチャーからのN!!』みたいな『捲りゲー』の印象が強い。『Nで屈するデッキはデッキとして呼べない』と言われていた頃が懐かしい)
その辺のカードをかき集めただけの紙束ならともかく、ちゃんとした槍さえ装備されているデッキなら何を握ろうと、とりあえずその槍さえ先に突き刺すことができればどんなデッキにも勝てるし、逆にどれだけ強い人、強い構築でも先に相手から槍を刺されると負ける可能性がある。
超ミュウミュウの先2マリィナイトウォッチャー
スピザシの先2ブレキャリ270(+祠)
サンザシの先2オルジェネから先3アルティメットレイのタイミングにカスキャが揃っちゃったパターン(或いはポケキャ表とか)
ピカゼクの伝家の宝刀後1フルドラ
小ズガやズガアゴの先2~先3大打点
…………その他諸々。
今の環境の「槍」はちょっと上振れて成就してしまっただけで、それ1回で相手を死に至らしめる可能性があるほどに鋭く、強い。
勿論自分が持っている槍を突き刺したら100%勝ちってわけじゃないけれど、とはいえ正直やられた側はだいぶ厳しい。
で、その槍が大体の場合先2先3とかに用意されているのがまた更にいけないポイントで、受ける側が対策しようとして構築にカウンターを仕込んでもそれが決まらないってパターンは大いにある。
(てか先2で槍を刺された仮定だと後手側に残されたターンは後1のみで、そりゃカウンターパーツを引けなくても仕方がない)
この辺りはSM期の「先1カキどうする?」みたいな問題と似通ってて、当時の結論は「結局のところ変にそれにカウンターを決めようとして構築を歪めるくらいならもう無視してジャンケン勝つか割り切りでそれ以外のマッチを勝つ」みたいな着地点だったように思う。
(少なくとも自分はそうだった。先1カキからの先2グズマフレアストライクとか先2クロスディヴィジョンGXを安定して返せます!みたいな構築は今振り返ってもやっぱり無かったんじゃないかな?多分)
ただ、問題なのが前述の通りカードパワーの増加でどいつもこいつも「先1カキから先2でブン殴ってくる」並みの槍を手に入れてしまったことである。
SM期の炎ミュウミュウだけなら「まず炎ミュウミュウにマッチして、かつジャンケン負けて、かつ先2クロスディヴィジョンGXが成立する確率?割り切りよそんなもん」って言えたけど、今はそうもいかない。
今は何と対面しようと、彼らの多くは「やべぇ槍」をチラ見せしてくる。
で、更に面倒なのがSWSD期から始まった「先1サポート不可」のルール変更。
いやこのルールホンマか指数高くないか?ってずっと言い続けてるし、今からでも遅くないから「先1エネ手貼りできない」くらいに緩和してくれないかなって思ってる。
どのデッキも装備している槍そのものは強い。
が、先1でサポートを使えないので先2先3で槍を突き刺せるかはわからない。
そうなると必然、プレイヤーの大半が「如何にして安定して先攻で槍を突き刺せるか?」にシフトしていく。
(具体的には本来のポケモン数に対して過剰な数のボール系グッズを投入するなど)
(じゃんけん勝って後攻を選ぶパターンは基本的には考えていない。よほど後攻に寄せた構築でもない限りは普通のプレイヤーなら『相手から先攻最速で槍を刺されることを拒否するために自分が先攻を選ぶから』だ)
加えて序盤、槍の成就に関係しない「捲りパーツ」の価値も相対的に下がり、構築はますます「序盤」に寄っていく。
(例えば捲りパーツの代表格であるリセットスタンプの枚数がSM期と比べて減少傾向にあるのは『後半捲る捲らない以前にそもそも自分が前半強い動きをしたら勝てるでしょ』という思考がある程度介在している、という考えは否定できないだろうと思っている)
捲りカードを減らし、その分ボール系カードを増やし、ゲームのピークを前半に設定する。
先1が安定しないので、こうでもしなければ枠も足りないし槍の成就も見込めない。
で、だ。
このような構築同士が相対したら、どちらが勝つだろうか?
それは当然、「先に槍を突き刺した方」である。
相手より先に強い動きができれば相手はそれを捲る術に乏しいのでそのままズルズルとゲームが決まる。
仮に先5でゲームが終わろうと、その展開の大半が先2先3で既に決してしまっているわけだ。
そんなこんなで今の環境、後攻を踏んだ時点で「先2で槍を刺してきませんように(なお刺されたら負け~)」とお祈りするゲームが多い。
(先攻で槍を刺す側も、先2で刺せねば後2で自分が逆に槍を刺されるので必死である。先攻優位の対人ゲーム風ソリティア)
この辺りの「ルールとして不安定な先攻」、「それでも不安定ながら運良く成就さえしてしまえば先2先3という早い段階で相手を破壊可能なレベルの強い槍」、「刺された槍を弾き返す手段が乏しくなってしまうよう構築せざるを得ない先1のルール」、これらが今のポケモンカードに対して抱く違和感である。
しかもよほどのことがない限り、この構図は今後も変わらない。
何故なら「ルール」として先1が安定しない以上、このルールで遊んでいる限りは「先1安定させるべし」の思考から逃れられないからだ。
当たり前だがルールはそう簡単には変わらないので先1が安定するような何か(何らかの革命的なカード然りルール変更然り)がない限り、今後も先1を安定させるため(および、先2先3で安定して槍を突き刺せるようにするため)にボールを多投するのが正義だと思うし、同様に今後も捲りカードの評価は低いままだと思う。
本当に、本当に、ルールとしてこの構図から逃れられない点が絶望的で、だからこそ繰り返しになるが今からでも遅くないから新たなルール改訂が起こってほしいと願っている。
が、願うのは勝手として今現在のポケモンカードをプレイするなら当たり前に今現在のルールに則りプレイしなければならないことも理解している。
自分はポケモンカードが(および、ポケモンカードをやるメンバーが)好きでこのゲームをやっているので「はい、じゃあルール改訂あるまで辞めます」と簡単には辞めたくはない。
辞めたくはないものの、現状のゲーム性は決して好きとは言い難い。
なかなかどうして面倒なループ構造である。
でもやっぱり、何回考えても「誰にでも勝てて誰にでも負ける環境」はやってる側から見たら釈然としない部分があると思う。
(少なくとも自分はそう。やるからには勝ちたいし、練習だとしても勝率が5割とかだったら結構腹の底ではイライラしてると思う。我ながら面倒な性格だ)
勿論「ポケカは練度カンケーないクソゲー!運だけマンが勝つだけの単純なゲーム!」と批判するつもりは決してない。
やっぱり何だかんだで練度が出る部分ってのはあるし、構築だって回せば回すほど毎日1~2枚は変わっていく。
構築が変わる時点で「その60枚は『最善』じゃなかった」ということであり、最初から最善の60枚を確定させられるゲームじゃないならそれは「単なる運ゲーではなく練度が関係するゲーム」だ。
それに、何だかんだで強い人は毎回勝ってる。
結局のところ何を語ろうと根底には自分が「何だかんだで毎回勝つ強い人」になれない悔しさがあるのは否定できない。
が、それでも先2マリィナイトウォッチャーからビタ止まってワンサイドゲームになったり先2キャッチャーニャイキングニャイキング祠ブレキャリでベンチの3神が吹き飛んだりする度に、「これって練度関係あんのかな?」と思ってしまう弱い自分がいる。
順序が逆か。
「これって練度関係あんのかな?」って思っているから弱いままなのかもしれない。
毎回勝てる人になりてえな、俺も。
と、思いつつ、「俺の直近の公式成績ってシティ0-3ドロップだし『毎回勝つ』以前に『そもそもまず勝とうね』ってところからスタートしてね?」と自分で自分を殴り倒している。
シティ札幌まであと10日かそこら。
誰か俺に、「安定した勝利」を教えてくれ。
(でもやっぱそういう勝利は自分で練習して見つけ出さないと掴み取れないんだろうな、きっと)
【追記】
僕は「自分の不運を強調する人間」にはなりたくないと思っているので上記の「先2マリィナイトウォッチャー」や「先2キャッチャーニャイキングニャイキング祠280」は決して「安定してやられているわけではない」ことも理解しているし、相手が先2で動けなく、自分が後2で槍を突き刺し勝利したゲームも多いことは事実である。
しかし、その「勝利」は「自分が強かったから」ではなく「相手がたまたま先2で槍を突き刺せなかったから」の勝利に過ぎない。
これでは、「安定した勝利」とは呼べないだろう。
なお自分は先2の槍を突き刺すことに寄せた超ミュウミュウで痛い目を見ているので(シティ0-3)、「あまり先2の槍に重きを置きすぎるのも成就しなかったときが危険だ」と思い今は先1先2の要求が少ない3神ザシアンを試しているのだが、今度は先2のオルジェネに対して相手の後2の槍に突き刺されて死亡するケースが多発している。
いやはや、ポケモンカードとは上手くいかないものである。