バレンタインデーの思い出
なんだこのテーマは。
オタクを煽っているのか?
まあ折角与えられたテーマですし、そもそも僕はオタクではなく幼女なのでここは怒らず冷静に「バレンタインデー」というテーマで書いていこうと思います。
ちなみに前提として僕には空想上で丁度3歳下の5歳の妹が居ます。
去年の話です。
当時小学2年生だった僕は他の幼女と仲良くお喋りをしていたのですが、バレンタインデーが近くなる頃なら話題は当然決まっている状況でした。
「ねぇ◯◯ちゃんはだれにチョコあげるの~?」
「えー、ひみつだよー」
「◯◯ちゃんはね、△△くんのことがすきだから△△くんにあげるんだよ」
「ちょっとー!なんでバラしちゃうのー!」
「まあまあ、わたしたちも△△くんにあげるチョコをつくるのてつだってあげるから」
「ほんと?ありがとー!」
実に可愛らしい会話です。
思い出して文章に書き起こすだけでほっこりしてしまいました。
しかし、僕はというと
「で、もみじねこちゃんはだれにチョコあげるの?」
「うーん、誰も……」
「ずるーい!」
「でも、もみじねこちゃんってだれがすきなのかわかんないよね」
こんな感じでした。
それもその通り、何を隠そう僕の本命は妹ただ1人であり、読者の期待を裏切らない百合幼女だったんですね。
なので今年も男子にチョコをあげる予定は存在せず、仲の良い幼女にあげる友チョコと妹に渡す本命チョコの製作に勤しむばかりなのでした。
さてそうこうしている内にバレンタインデー当日。
この時期の北海道は平気でマイナス5度くらいに到達するので手袋とマフラーと友チョコを完備しつつ、白い息を吐きながら学校に到着しました。
チョコのプレゼントを昼休みまで我慢できないフライング女児による小包みを横目に下駄箱を通り過ぎて教室に入ると早速甘い匂いが漂ってきます。
お菓子パーティーじゃないんだからというツッコミを棚に上げ、僕もチョコの交換会に参加です。
まだ小学2年生、無邪気なのがいいですね。
放課後になる頃には全員好きな相手にチョコを渡せたようで僕も一安心でした。
もっとも「好きな人にチョコを渡せなかった……!」と泣きじゃくるのは物語だけの展開のような気がしないでもないですが。
ちなみに気の早い幼女はもう「ホワイトデーにおかえしくるかなぁ?」といったお喋りをしていましたね。
ちなみにホワイトデーのお返しで調べたところ
⚫マシュマロ→貴方を好きではない
⚫クッキー→友達のままでいましょう
⚫キャンディー→貴方が好きです
という意味を持つのだとか。
まあこの世の男性でここまで意識してホワイトデーのお返しの品を決める人が果たして存在するのか、甚だ疑問が残りますが。
話が逸れましたが小学校から帰宅、ここからが僕の本命です。
「はい、チョコあげる!」
僕が構想に丸1週間、製作に丸1日費やした本気のチョコです。
4歳の幼女に対する1日の摂取カロリーまでケアしつつ、それでいて最大限甘味を感じられるように作り上げた一品、正直GSの構築よりも脳内議論を繰り広げていた自信があります。
「わぁ!おねーちゃんありがとう!じゃあわたしからもどーぞ!」
「え?」
僕が妹にチョコをプレゼントするというのは至極当然の択でしたが妹からチョコをプレゼントされるという択は完全に思考の外でした。
というのもその筈で妹は当時まだ4歳、およそ手作りチョコをプレゼントできる年齢であるとはまるで思えません。
驚きで固まっている僕に母親が一言。
「いつも優しくしてくれるお姉ちゃんにお返しがしたかったんだって。お母さんに作り方を聞いて頑張って作ったんだもんね?」
「うん!」
嗚呼なんたる幸福、神は此処に実在していたのか。
灯台もと暗しとはよく言うが、こんなにも足元から僕を照らしていたではないか。
ありがたや、ありがたや。
小さなアルティメットまどかを目の前にして僕はただただ感動に打ちひしがれる事しかできません。
さて感動も冷めやらぬ内に我が家でもチョコパーティーが開催されました。
僕はというと妹のチョコを食べた瞬間から漏れ出す鼻血を抑える事ができません。
愛が鼻から漏れてきた結果なのか、はたまたチョコの食べすぎによるものなのか今となっては判断のしようがないですが、どちらにせよ最高に報われた形で僕のバレンタインデーは終了したというお話でした。
この時期になるとクラスではまたバレンタインデーの話ばかりです。
小学2年から小学3年になるタイミングでクラス替えがあったのですが、この時期に話す内容は誰でも同じということですね。
僕は相変わらず友チョコと妹宛ての本命チョコを用意しつつ、今年はちょっとだけ妹からのチョコを期待しちゃおうかな、と思っています。
長い話でしたがここまで読んでいただき誠にありがとうございました。
ちなみに高校生の時に悪ふざけで知り合いの男子に板チョコをプレゼントした結果、本気と勘違いした見物人から「そうかそうか、つまり君はそういうやつなんだな」というような目で見られた経験があります。
渡した板チョコがブラックチョコレートだっただけに「苦い」経験ですね(うまい)